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釣り人が訪れる石狩市(旧浜益村)送毛地区。民宿もある。 |
一次産業が経済の主体であった時代は、農山村、漁村においても、それなりの賑わいがありましたが、産業構造が変化し、農林漁業が相対的に縮小していくとともに、やがて、それらの地域は過疎化が進み、小規模な集落へと変わっていきました。
自治体の中心部からはずれた場所にあって、旅の途中で通り過ぎる、ある程度の世帯がまとまった集落には、落ち着いた、どこか懐かしい雰囲気があります。
情報技術が進み、世界中の様々な事象をリアルタイムに捉えられる時代となった一方で、そのような集落は時代の進化とは無縁の感がありますが、私は、それが人間としての生き方にふさわしい、本来の場所であるに違いないと感じることがよくあります。かといって、今さら田舎暮らしで生計を立てられる能力のない身にしてみれば、したがって、ここにも時空を超えた旅情を感じることができるのです。
現在、過疎地域に指定されている自治体において、町内会程度の単位として存在する集落は、全国で6万2千件程度あります。そのうち北海道は、4千件程度を占めており、65歳以上が半数以上のいわゆる限界集落は300件以上にのぼります。国土交通省の調査(2006年)によれば、道内の186件の集落がいずれ消滅すると見られています。
日本は、いつか、田舎のない国になってしまうのでしょうか。集落は、何もない場所でありながら、ひょっとすると今の内に訪れるべき貴重な観光資源なのかもしれません。
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小学校の廃校から間もない遠軽町社名淵地区。 |
(※両地区とも、文中のデータとは直接の関係はありません。)
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