「藤吉 裕和の山の中から子ども達に向けて」


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「おっちゃん」と「山の中」をキーワードに、昆虫の家の紹介から設立のいきさつ、現在の活動をご紹介します。

作者紹介
藤吉 裕和
1973年4月26日、北海道常呂町産。地元の高校卒業後、家業の農業を後継しながら通信情報系フリーライターをする。その後、離農し網走のOA機器修理職を経て現在建設会社勤務。常呂町在住。

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■第33話

■春。旅立ち。〜メッセージ〜

 3月も残すところ10日あまりとなりました。春のような日差しの時には、雪解けがどんどんとすすんでいて、春の足音をより身近に感じることができます。白い雪原に、農家の皆さんが融雪剤で地上絵を形成し、雪の下から約半年ぶりの大地が顔を出したとき、春の匂いと共に土の香りが立ちこめます。

 この春も、昆虫の家で過ごしていったスタッフ達がそれぞれの自分の道に向かって第一歩を歩き始めました。歩みはまだまだしっかりしていないのかもしれないけれど、そして、進んでいく道にたくさんの不安や困難が待ち受けているかもしれないけれど、自分のペースで歩んでいって欲しいなと思います。

 2回の夏の自然体験村、春の常呂訪問で3回も昆虫の家に来ていた山口県の大学生、ぺこ。独特の雰囲気で周りを和ませる特技がありました。何事にも真剣に取り組み、一生懸命考えて、悩んでいたのを思い出します。子供達にとっては姉ちゃんのような存在だったようで、いつも周りに子供達がいました。私にとってぺこの印象は、とにかく泣き虫。これにつきます。でも、子供の前やおっちゃん達が参加する全体会議などでは、どんなにキツイことを言われても泣きませんでした。子供達のこと、子供達の中で流行っていること、自分のこと、たまーに彼氏の事など、いろんな話をしたのを思い出されます。
ちょっと甘えている部分は見受けられましたが、何事にも真剣に取り組む姿勢、自分の中ですごくたくさん考えること(抱え込みすぎる所もありましたが)、素晴らしいなと思って見ていました。4月からは社会人としての生活が始まります。悩むことも必要だけど、たまには息抜きしながら自分のバランスをとっていって欲しいなと思います。

カウンセラーとして頑張ったぺこ

 大阪からきたひーちゃん。保母を目指して頑張っていましたね。誰も知っている人がいない所へ、たった一人で飛び込んできたこの勇気はすごいと思います。物事をすごく客観的に見ることができ、的確に意見を出すことができる、そして、場の空気を察知しながら話すところなんか、なかなかできないことをさらりとやっていました。4月からは保母として活躍することと思います。たくさん話をした中で出てきた、客観的に見たいきいきという事業についての疑問点は、私なりに消化して、おっちゃん達に少しずつだけれども伝えていきたいと思います。ひーちゃんも、将来の大きな夢に向けて、少しずつ頑張っていきましょうね。子供達が裸足で駆け回れるような幼稚園を作る、ひーちゃんならきっと実現させる事ができると思います。

大阪弁で笑顔を振りまいていたひーちゃん

 今年は大忙しだった養護担当の千恵ちゃん。看護師という経験と知識は素晴らしかったですね。1年目は泣きながら対応していた姿からは想像できないほど、今回は強くなりました。千恵ちゃんには、薬品の買い出しから子供達の病院搬送まで、一番こき使われました。でも、自分がふらふらになりながらも、たった一人で26人の子供達の病気やケガに24時間対応していた姿は、誰の目にも「頑張りすぎではないのか?」とうつりました。1年目の、若原さん達に直接話ができなくて、私をつかまえては話を伝達するという様子だった事を考えると、本当に強くなりました。今月26日、結婚するという嬉しい話を知らせてくれました。ちょっとボケボケしている所があって、なおかつ頑固でマイペースな千恵ちゃんですが、持ち前の雰囲気でほんわかとした家庭を築いていくのではないかなと思います。

頑張り屋な千恵ちゃん


 毎年、長期事業にスタッフとして参加してくれる若者は、本当に頑張り屋が多いです。子供達よりもスタッフ達と話をしている事が多い私ですが、若者達の熱意に感心させられる所がすごく多いのです。そして、それぞれが多様な個性を持っていて、その個性をぶつけ合いながらもお互いに認め合っている、すごいなぁといつも関心してしまいます。

 おっちゃん達に直接話せないこと、たくさん話してくれましたね。若者とおっちゃん達の中間にいるのが私だけです。私にたくさんの宿題を出してくれました。私もそんなに器用な方ではありませんし、勉強は好きではありません。どれぐらい宿題がこなせるのか、、これは今年の夏にも開催されるであろう「いきいき」でちょびっとずつ、こなしていければと思います。その時まで、宿題の提出は待ってくださいね。

 春。日だまりのような、やわらかであたたかい日差しの中、みんなのそれぞれの門出を見届けています。自分らしさを胸に秘め、それぞれの前途に幸多いことを祈りながら・・・。

「頑張れよ」
短い言葉に、たくさんの思いを込めたメッセージをおくります。

(続)

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