「藤吉 裕和の山の中から子ども達に向けて」


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「おっちゃん」と「山の中」をキーワードに、昆虫の家の紹介から設立のいきさつ、現在の活動をご紹介します。

作者紹介
藤吉 裕和
1973年4月26日、北海道常呂町産。地元の高校卒業後、家業の農業を後継しながら通信情報系フリーライターをする。その後、離農し網走のOA機器修理職を経て現在建設会社勤務。常呂町在住。

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■第29話


■「考える」って何?

 日に日にしばれも強くなってきました。流氷が近づいてきているというニュースも流れていました。しもやけになっている私の足は、より一層しもやけが進行し、まだちょっと先に待っている春がすごく待ち遠しいのでした。

 夏の「いきいき」。今年も色々な個性を持った子供達が集合していました。高学年なのに幼い子、低学年なのにしっかりした子。色々な個性が集まっていました。気づいた限りではみんな「子供らしい」面をしっかり持っていました。
 「いきいき」に参加する子は次の2つのパターンに分かれているのでは、と分析をする事務局のおっちゃん達は多いのですが、「子供が自ら、体験する意識を持って臨む子」と「親が申し込みをして、特に目的意識を持たないで来る子」。大まかにはこのように見る事ができるのではないかと思います。もちろん、参加してから何か目的を見いだせる様になれば、それは凄く嬉しい事なのですが、それでもやはり、ただなんとなく過ごしている子も一部ではいました。
 いきいきのプログラムは、保護者の方には好評で、「これだけのたくさんの体験をできるものは、他にはない。」「自分が参加したいぐらい」という声が多く聞かれます。オホーツクでできる事をてんこ盛りにしたプログラムは、すごく魅力的な事には間違いないようです。それでは、目的意識があまり持てない子に、どうやって目的意識を持ってもらうように誘(いざな)えば良いのでしょうか・・・。といっても、私は教育者でないのでわかりませんし、子供達と24時間接する訳ではなく、夜な夜な現れては消える役目なので、考えても仕方のない事なのかもしれません。
 色々と問題を起こす子と話をしますが、私の聴き方も上手ではないせいもあってか、「どうしてこうなるんだろうね」と質問を投げかけても、「めんどくさい」という答えが多く戻ってきます。何が面倒くさいのかな、なんて思ったりしていますが、考えるよりも友達とワイワイとやっていた方が良いような印象を受けました。また、何か問題を起こすたびに、大学生カウンセラーは親身に諭すように頑張っていますが、子供の視線の方が上に来てしまい、カウンセラー達を見下げている部分も見受けられました。その場限りのいい訳も目立ちました。とにかく、その場が良ければいいや。そんな思想が流れているようで、なんともしがたい感覚に襲われたのを今でも覚えています。
 もちろん、こんな子供はほんの一部です。私より大人な考えで話している子もいますので、なんか両極端だなぁと思ったのが正直な感想です。
 手加減をしないケンカもたびたびありました。カウンセラー達はその度に東奔西走して状況を把握し、自分なりに考えて、自分が考える最良の方法で子供達と接していました。ケンカの中でも、カウンセラーの目の届かない場所で行われている部分や、中学生が小学校低学年の子供に対して本気でケンカをするなど、私の理解の範疇を越える出来事が少しありました。どうも、相手の事を考える力、ちょっとだけ考える事。こんな事が放棄されているようで悲しい気持ちになりました。
 私が小学生の頃も、ケンカはたくさんあったように記憶しています。だからって、無茶苦茶なものはなかったと思います。私はぜんぜん強くなかったので、取っ組み合いになった時も、力の強い相手はやはり自然と手加減をしていたように思います。ケンカのあとも、ケンカになった事やそれまでの経緯を、泣きながらでも一生懸命考えていました。自分の悪い所が時間が経つにつれてボロボロと出てきて。そして、謝る事ができた。そんな記憶があります(今でも、謝りたい相手はたくさんいます。相手にとっては子供の頃、学生の頃の話なのですが)。
 子供達には、「考えたふり」ではなくって、ちょこっとでいいから「考える」事を面倒くさがらずにやって欲しいな。そう思っています。

子供以上に泣き笑いしたカウンセラー達

 そうそう、このいきいきのカウンセラーとして参加した大学生からも、子供と接するのが難しかった事。自分があの場で何をしていたのか。そんな事をたくさん考えたという手紙をもらいました。子供を通して、大人までいろんな事が考えられる。この考えた事は経験としても、これからの人生で活かされる時がきっと来るのではないかなと思います。
 ---これって、いい事ですよね?そして、きっと意味がある事ですよね?
誰も答えてくれはしないけれども、1人で自問自答してみる私でした。

 そんな事を考える前に、子供達からもらった手紙にお返事を書く方が先ですよね。その子その子の事を考えながら、どんな返事を書こうかな。

 

(続)

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