「藤吉 裕和の山の中から子ども達に向けて」


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「おっちゃん」と「山の中」をキーワードに、昆虫の家の紹介から設立のいきさつ、現在の活動をご紹介します。

作者紹介
藤吉 裕和
1973年4月26日、北海道常呂町産。地元の高校卒業後、家業の農業を後継しながら通信情報系フリーライターをする。その後、離農し網走のOA機器修理職を経て現在建設会社勤務。常呂町在住。

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■第35話

■今年も「いきいき」が始まります

 またまたごぶさたしてしまいました。今年も夏には2週間に及ぶ子ども達の自然体験事業が開催となり、書類や名簿の準備など事務仕事も増えてきました。来月末からは、全国各地から集まった子ども達21名が昆虫の家をホームグラウンドに色々な自然体験活動を展開します。

 毎年困るのが、養護スタッフの手配やボランティアスタッフの手配だったりします。今年も、地域のフリーペーパーさんに多大なるご協力を頂き告知することができました。読まれている方では、学校の養護の先生達にお願いすれば・・と思われている方も多いと思いますが、なかなか14日間の泊まり込みは難しい場面もたくさんあると思います。そして、町の人たちも「こんな事業はやめてしまえ」という声も結構あります(「昆虫の家自体をたたんでしまえ」という声も、私が直接聞く機会もあります)。このような状況下ですので、過去にも事務局長や理事達が学校などにお願いして回ったようですが、のれんに腕押し状態だったようです。

 さて、過去のことをぐたぐた言っても、協力してくれる人や支えてくれる人を少しでも増えてくれるような活動にしていかないとダメだと思い、ちょっぴり前向きに考えることにしています。
 今年はフリーペーパーさんの威力で、大病院の現役看護師さん2名が、長期間お休みをとって参加してくれる事になりました。今回は、その顛末などを書いてみたいと思います。

 フリーペーパーさんに連絡先としては私の携帯番号を載せています。これがいちばん手っ取り早い連絡方法でもあります。フリーペーパーには「原則14日間の参加ができる方」という表現をしていたので、「14日間参加できないとダメですか?」という問い合わせだったと思います。電話をもらったときは、養護スタッフは誰もいない状態だったので、そのまま即答したかったのですが、ちゃんと事務局長の許可がないと受け入れを決定することができないので、連絡先などを聞いて後日連絡することに。事務局長にすぐに連絡すると「おお、受け入れるべ。ただ、その友達なんかにも別の日に参加できるように話してくれ」という軽い返事でした。

 次の日にはその看護師さんに連絡をし、スタッフ申込用紙に記入してもらうことになりました。でも、「いきいき」の事業内容などは全くわからないと思うのと、養護スタッフ(事業の中では結構大変)のお仕事について、去年の養護担当からもらっていた資料を作って、去年の活動の様子をおさめたDVD、昆虫の家の概要についての資料など考えられる資料を全部つけて、北見の某ローソンで待ち合わせをして渡しました。資料の中には、キツイ様子も楽しい様子も全部包み隠さずに出しました。良い所だけを見せておいて、いざ事業が始まってから「騙された」と思われるのは嫌だし、きつい部分も全部見てもらって、その上で「参加できません」といわれるのは仕方のないことだと思っていました。昨年度の壮絶な養護記録(昨年度は猛暑でプール熱などが流行した)から個人名を抜いたもの(A4で何枚もぎっしりと書かれていた)はふつうの人が見たら「げっ」と思うぐらいのものでした。

 ドキドキしながら返答を待っていたのですが、「DVDを何度も見た」「感動して泣いてしまった」というメールが入ってきました。予想もしなかった反応にとまどいながらも、ほっとした自分がいました。
 先日、いきいきの期間中に使用する薬品のチェックに来てもらい、事務局長と面談となりました。事務局長は、かなり特徴があります(原稿を読まれている方はご存じかもしれませんが・・・)。昨年度の養護の言葉を借りると「普通の人はいないのかと思った」ですから、微妙に第2関門かなぁなんて思っていました。ここまで来て、逃げられるわけにはいかないのです。
 しかし、看護師さんとしていろいろな人を見ているせいでしょうか。全然気にならない様子でした。「事務局長は少年のような目のおもしろい方」とメールもらいました。これで、第2関門は突破です。

 昆虫の家では、新しいスタッフ達が入ってくることを「引っかかってきた」という言葉を使います。「引っかかった」スタッフのうち、なんだかんだ抜けられなくなることを「はまった」と言います。
 今年の養護担当は前半と後半に分かれ、引き継ぐ形で協力してくれます。当初は、休暇の都合で養護不在が数日ありました。それでも、更に休みを追加でとってくれて、全日程カバーしてくれることになりました。職場の方々にも多分たくさん迷惑をかけてしまうのではないかなと心配になりますが、本当にありがたい話です(職場の皆さんにもお礼を言わなければなりませんね)。親友という2人ですので、連携もバッチリじゃないかと思います。どちらも独特の雰囲気を持っていて、子ども達はすぐに仲良くなるんじゃないかなと思います。

今年の養護担当の2人

 高校生・大学生スタッフ達も満員御礼状態だそうです。北見学園大、東京農大、九州や中国からもたくさん来るようです。参加者する子ども達も、定員以上の内定を出して受け入れることになりました。
 あとは、地元スタッフ達が確定してそろえば、今年も6回目の「いきいき」が動き始めます。
 地元スタッフ達も、「(いきいきを)やめてしまえ」とか「帰ってきたら席がなくなっている」とか「休みをとらせない」と言われつつも、ほとんどあきれられながら、なんだかんだ言いながらも送り出してくれる職場や家族に感謝しなければなりません。色々言いながらも、協力してくださるのですから(いろいろ言われるうちが花なんでしょう。きっと。)。

 大きな事故も、怪我もなく、全国から集まる子ども達が「常呂」という地域の「自然」や「人柄」、常呂ならではの「それぞれの生きるための仕事」、色々な「地域の人との交流」、そして「また冬の常呂が見たい!」と言われるように、夏の14日間を走り抜けれることを願っています。
 来年、町名としての「常呂」はなくなっているでしょうが、子ども達が「肌で感じた常呂の潮風、常呂の土の感触などたくさんの体験」はずっと残っているのではないかと思います。もちろん、ここに住む私たちは何ら変わりなく、地域とともにあり続けるでしょう。

(続)

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