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作者紹介
長谷川 健一
留辺蘂町生まれで、現在、北海道森林管理局北見分局森林技術第三センターに勤務。1901(明治34)年、四国香川県から祖父・留吉は3歳の時、父才蔵と共に、人跡未踏の北海道の開拓の志を立て和寒の地に入植。その後1921(大正8)年、大和の現在地に移住する。父は昭和21年分家初代目として現・平里の地にて農業に従事する。4人兄弟の長男で父が分家して留辺蘂にて2代目(1948年生)

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 ■第4話 

留辺蘂町の市街から旭川方面へ車で三十分、無加川林道の大渓谷は、野村興産(株)イトムカ鉱業所から西へ数キロの地点にある。そこには森林の中から天空へとそびえ立つかのような層雲峡を思わせる断崖がある。急に上空の視野が広がったところから沢に向かうと、ザーという渓谷から水の音が聞こえる。これが、高さ百メートルほどの落差を持つ「幻の滝」だ。滝は早春の澄んだ雪解け水を流すだけで地元の人にもあまり
知られておらず、私は「幻の滝」と命名し、それが地元のフリーペーパーに掲載され話題を呼んだ。まさに「留辺蘂の秘境」と呼ぶにふさわしい場所だ。


風の香り、木の香りを体全体に感じながら、この場所を訪れた一行は、そびえる断崖にびっくり。会員達は「今まで留辺蘂に長く住んでいて、こんな素晴らしい景観があることは知らなかった」「感動ものだ。あらためて留辺蘂の良さを再認識した」と語り、断崖絶壁を見て感心していた。無加川の源流でもあることから岩魚やヤマベの姿も見られ、左右にはドロの木やエゾマツの巨木がそびえ立つ。巨木を見た瞬間、ハッと息をのむ迫力、威厳、そして神々しさ。巨樹には何百年も生き抜いてきた者だけが持つ独特の顔がある。その巨木から発散される揮発性物質と言われているフィトンチッドのすがすがしい空気を胸一杯に吸い込むと、「生きていて良かった」と実感したという。山菜取りも、ここまでは来ないのかクサソテツ(コゴミ)が至るところで群落していた。見る、聞く、さわる、においをかぐといった五感で感じた会員達はそ
の感動のエネルギーに新たな活動に向かう。

(続)

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