大谷地恋太郎の地方記者日記

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作者紹介
ペンネーム:大谷地恋太郎
日本各地を転々とする覆面記者。
取材中に遭遇した出来事や感じた事を時に優しく、時に厳しくご紹介します。

(以下は大谷地氏とは関係ありません)

三谷元次郎(1874-1931)
愛媛県松山生まれ。巡査、新聞社員を経て1913年(大正2)頃函館に渡る。大阪にいた頃に発明した『電気予言器』で「第三銀行函館支店三百円盗難事件」を解決した事より「電気予言・三谷天命堂」主人となり、1919年(大正8)から1930年(昭和5)まで函館毎日新聞社の依頼により電気予言器によるその年の「国運」を発表。予言界の革新者として、的中率の高い予言で信望を集めた。

■地方記者日記133
 交通違反
by大谷地恋太郎

 高速道を走らせていた。三車線の一番右側の追い越し車線だ。最初は真ん中を走っていたが、前方のトラックに追いついてしまい、視界がふさがれる形になったので、追い越し車線に変更し、そのまま走らせていた。速度は120キロぐらいだろうか。極端な速さではない。
 そんな時だった。突然後を着けるように走っていた後続車が、変身した。
 天井部分に赤色灯上がり、サイレンを鳴らされた。最初は何のことか分からなかった。
 覆面パトカーだった。ようやく事態を飲み込んで、車線を真ん中に変更した。速度違反だろう。そう思って、そのパトカーに誘導された駐車分離帯で止まった。
 安全な場所まで誘導するので着いてきて欲しい。こう言われて、道路とは区分された場所まで走らせて、交通違反切符を切らされた。
 ただ、この違反容疑がよく分からなかった。
 速度違反ではなく、「通行区分違反」だというのだ。
 エッと思ったが、押印した。マイナス1点。違反金六千円だ。国庫に入ることになる。
 速度違反ではなくて、助かったといえば助かったのだが、通行区分違反だなんて。
 たしかに道路交通法では、片道二車線の場合は左側を、三車線の場合は、一番左か真ん中の道路を走るようにとうたっている。一番右は、あくまでも追い越す場合の追い越し車線で、やむを終えない事情の場合のみ許されている、としている。
 だが、こんな法律を条文通り解釈して走らせているドライバーが、どのくらいいるのだろうか。
 三車線の高速道を実際に見てみると、速度を上げて走っているドライバーはずっと、一番右を走らせているし、速度を上げないドライバーは左を走っている。要するに交通量が、そうさせているのが実態だろう。
 そうなのだ。こんな実態を伴わない法律を適用させることに問題があるのだ。
 実際の交通状況を見れば、やむを得ない状態だったので、そのまま私は走っていた、と主張すれば、それはそれで正論だろう。
 ただし、ここに落とし穴がある。
 現場の県警高速隊の隊員の裁量で、速度違反ではなく、通行区分違反にしてもらった、と解釈も出来る。
 検挙された現場で、「通行区分違反ではない」と主張すれば、きっと点数の高い速度違反を適用すると言ってくるだろう。
 実は今から十年近く前、この同じ高速道の、同じような場所で、速度違反で検挙されたことがある。
 あの時は覆面パトカーではなく、通常のパトカーだった。車内でハウンドドッグの音楽を掛けながら聴いていたら、いつの間にか速度が出ていて、明らかに速度違反だった。
 それ以来、高速道の速度違反だけは気を付けていたのに。
 同じ場所で、同じ県警に検挙されるなんて、情けない。
 さらに言えば、来年の運転免許更新で、今度こそゴールドになるところだったのに。
 あーあ。

(続き)



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