■地方記者日記126
経費 |
| by大谷地恋太郎 |
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新聞各紙の新聞代。電気代。水道費。ガス代。灯油代。自家用車のガソリン代。出張の経費。文具に、町内会費、庭の雑草刈り。果てはNHK受信料……。
一人勤務の支局にいて、毎月憂鬱になるのが、これら経費の計算だ。
本社に請求して認められる経費もあれば、ある一定の割合だけ負担してくれる経費もある。その一方で認められない経費もあり、一つ一つ確認して、経費の請求をするから、精神的に疲れる。個人経営の会社だと、必要経費として控除対象となるものが、組織の一員として働いていると、すべてが経費として認められるのではない。
本社だったら、経理は経理で担当部署があるが、一人勤務だと、支局で使ったカネの計算を全部一人でやらないとならない。
しかも、当然のことだが、すべてに領収書がいる。月末までに本社に届けなくてはならないから、県庁所在地の支局には、その数日前に、領収書を添えた経費の請求書を持って行かないとならない。
私が現在勤務する支局では、新聞を五紙取っている。そのすべての領収書が必要だが、新聞の集金人が来てくれるのは、月末ギリギリになってから。これでは間に合わないから、新聞販売店に電話して、集金に来てくれるようお願いしている。新聞販売店にしてみれば、せっかちのように思われるかもしれないが仕方ない。取材などで出かけてしまい、支局が留守になることもあるので、来てもらえる日と時間を指定して、お金を用意して集金を待つことになる。
当然、ここで支払う金は、私の自分のカネだ。立て替えて、経費の請求をしてようやく次の月に振り込みの形で戻ってくる。だから集金人に支払って受け取った領収書は、金券そのものだ。これをなくしてしまうと、請求できない。
新聞代はそれでも、最終的に新聞社として必要経費として判断されているから、全額が戻ってくるからいい。
しかし光熱費はそうもいかない。どの社も似たり寄ったりだと思うが、一定割合しか認められていない。たとえば、一カ月の電気代金が一万円だとする。コンビニなどで支払った際に受け取る領収書は「一万円」となっているが、請求額はその半分しかできない。つまり半分は、居住のための電気代と見なされていて、仕事とは関係ないとされるのだ。
こう書くと、読者は「半分も負担してくれて、いいじゃない」と誤解するかもしれないが、新聞社の地方の一人勤務の支局は、一軒家をやや大きくしたもので、マンションとは違って、異様に電気代がかかるのだ。個人負担が五千円だとしても、決して安くない。ちなみに私が札幌に勤務していた時に借りていた賃貸マンションの電気代は、一カ月で五千円から六千円程度だった。
水道代もしかり。ガス代もそうだ。会社が決めた一定の割合でしか経費として認められないのだ。
自家用車のガソリン代もそうだ。
ほとんど仕事で使っているマイカーのガソリン代も、一定割合でしか経費として認められていない。全額は認められない。しかも県外で給油した分は認められない。最近はガソリン代の高騰で、自己負担も少しずつ高くなってきている。節約したいが、地方勤務だとマイカーの取材は必要不可欠で、仕方ないことなのだ。
こうしたガソリン代金も領収書を一枚一枚紙に貼り付けて、経費として請求する。
では支局の草刈り代や、NHK受信料は経費なのか、経費ではないのか。
実は、本社の判断も分かれている。
この支局に勤務を始めた時、全く警戒していなかったのが、支局の裏庭だった。夏が近づき、何と雑草が次第に大きくなり、進入することさえ困難になってしまった。その時はシルバー人材センターに依頼して、ある程度のカネを支払って雑草を機械で刈り取ってもらった。
本社に問い合わせをしたが、経費となるか否か判断付かないと言われて、試しに全額を請求してみた。翌月、全額が認められてホッとしたのを思い出す。
最近の地方勤務の記者は単身赴任が増えてしまい、草刈りなどをマメにしてくれる家族もいないから、一軒家仕様の支局のメンテナンスが大変なことを証明したようなものだ。
では町内会費はどうなる。
これも判断が分かれている。
私はずっと請求してこなかった。
しかし最近になって、近隣の支局長がずっと請求していることを知って、今年から請求することにした。
最後に。
請求をためらうカネの中で、もっともためらうのが、交際費。正確には飲食費だ。新聞記者になって四半世紀が立つが、交際費を請求した経験はあまりない。バブル経済の時に、一時、請求してくれ、と幹部から言われて恐る恐る領収書を添付して請求した経験がある。
取材相手と酒を飲む場合、ほとんどは自腹で支払っている。
「あいつ、けちだな」
「カネに汚い」
こんなカネについての変な噂が立つのも、変な評価をされるのも嫌だからね。
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(続き)
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