■地方記者日記123
大ショック |
| by大谷地恋太郎 |
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驚いた。ショックを受けた。人気歌手、ZARDのボーカリスト坂井泉水の死亡のニュースだ。
がんで入退院を繰り返していた、というのも初耳だったし、死因が転落死らしい、というのも不可解だ。早朝のウオーキングというのも、管理が厳しい病院では不可思議だ。この原稿を書いている時点で、正確な話は伝わってこない。
一度は治りかけたがんも、肺に転移し再び入院したというから、本人も苦しかったのだろう。何となく、自殺を彷彿させる雰囲気の報道だ。
その日、たまたま見ていた民放の昼のニュースで知った。民放に続いてNHKがきちんと報道すると思って見ていたが、簡単に報じただけ。内容もなかった。NHKとZARDと言えば、シドニー五輪でNHKがテーマソングとして流した曲は、ZARDが作った曲だ。そんな中なのに、簡単に報じるのは、何か別の意味があるのか、と疑問を持ったほどだ。
ZARDは元々、テレビにもほとんど出ない手法で、神秘性を出してヒットソングを作り続けた。コンサートを開いたのも、洋上コンサートが初めてだし、縦断ツアーを組んだのも最近のことだ。
だから民放が翌日の芸能ニュースで流した映像は、この縦断コンサートを収録したDVDからのもので、みんな一緒。それだけ、各社も映像のデータがなかったことになる。
そんなにコンサートがうまいわけではない。
しかしこれだけ人気を集めたのは、歌詞がうまいからだ。
以前、「札幌ストーリー」の欄で、ZARDの話を書いたが、吉田拓郎の曲作りに似ている。街、人々、歩く、夕日、孤独などのキーワードをちりばめながら作る歌詞は、拓郎と全く同じなのだ。知ってか知らずしてか、そうしたキーワードが中年の男性にも引きつけていたのだろう。「きっと忘れない」「マイフレンド」など歌詞は拓郎のそれを連想させる。
ZARDの死亡に続いて、松岡農水大臣の自殺のニュースが入ってしまい、ZARDの死亡の記事は、小さくなってしまったが、このニュースは尾崎豊の死に匹敵する話だと私は思う。
しかし、なぜ死んでしまったのか。
病気でも、がんでもいい。嘘をついて、ファンには音楽を発表して、歌い続けて欲しかった。
たぶん、想像だが、理想と現実、そして病気と健康の狭間で、空中散歩をしたくなったのではないか。そして何の抵抗もしないで、地面にたたきつけられた。頭を強く打ったが、本人は「これも私の人生よ」と、悲しむわけでもなく、楽しむわけでもなく、意識を次第に失っていったのでないだろうか。
だったら、嘘を言ってくれ。
吉田拓郎と中島みゆきが昨年秋のつま恋コンサートで共演して披露した「永遠の嘘をついてくれ」のように、「種明かしをしないでくれ」「一度は夢を見せてくれた君じゃないか」と最後まで歌ってくれ。
あと十年、否二十年、歌い続けて、円熟したZARDを見たかった。六十歳の拓郎と、五十五歳のみゆきの世紀の2ショットで歌う姿が、ちょー格好良かったように、年取ったZARDを見てみたかった。
享年四十歳。合掌。
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(続き)
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