大谷地恋太郎の地方記者日記

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作者紹介
ペンネーム:大谷地恋太郎
日本各地を転々とする覆面記者。
取材中に遭遇した出来事や感じた事を時に優しく、時に厳しくご紹介します。

(以下は大谷地氏とは関係ありません)

美泉 定山(1805-1877)
現在の岡山県生まれ。僧侶。1853年(嘉永6)48歳にして渡道、1866年(慶応2)に現在の札幌市郊外にて源泉を発見。1871年(明治4)には湯守に任命され、札幌から温泉地への道路開削や宿泊所を建設するなど温泉地の開発に尽力。その業績が認められ「定山渓温泉」と呼ばれる様になった。

■地方記者日記119
 ようやく終わった
by大谷地恋太郎

 統一地方選がようやく終わった。
 県議選や知事選、市長選に市議選、町村長選に町議選、村議選とよくもまあ、こんな大量の選挙が全国各地で行われたと、今でも思う。
 一方では激戦となる市長選がある一方で、なり手がなく、無投票で当選する村議も多いから、地域によって政治家に対する考えが違うのだろう。
 前回も書いたが、新聞社にとって選挙は大量の事務作業との闘いである。事前に立候補予定者を調べ上げ、そして次々と候補者の氏名や年齢、住所、電話番号、党派別推薦の有無、所属政党、過去の履歴、出身校、家族構成など、新聞には一部しか出さない情報を調べて、コンピューターに入力していくのだ。そしてそのデータが真実なのかも点検していく。学校に問い合わせをするのはもちろんのこと、勤めていたという会社にまで確認していく。最近は個人データ保護のため、問い合わせに応じない学校や企業も多く、過去の履歴が正しいのか分からないケースも多い。
 こうして入力していったデータは、選挙告示日に一斉に出して、紙面となっていく。これが事務作業の膨大たるゆえんだ。
 選挙は、民主主義の現代の戦争だ。
 立候補者にとっては、勝つか負けるかしかない。
 地域をまめに回り続けて、顔と名前を覚えてもらい、投票を依頼する。夕方開くミニ集会に、支援者がどのくらい集まっているか。これも当落を判定する大切な情報になっていく。
 選挙カーに乗って町の中を遊説するにも、どのくらいの人が、選挙カーに手を振っているのか。これも反応を調べるための大切なデータとなっていく。
 だから、新聞社の仕事は、きりがない。いろいろなデータや情報を総合して、当選予定者を想定していく。
 最後には、投開票日の予定稿づくり、という作業が待っている。
 これは、候補者の当落が決まるのは、開票から二時間から三時間だから、深夜になる。
 深夜になってから原稿を書き始めるのでは、締め切りに間に合わない。
 そのため、想定できる当落の原稿をあらかじめ作っておくのだ。
 これを予定稿、と業界では呼んでいる。
 A、B、Cの三人の人間が市長選に出たとする。
 その場合、想定できるのは、三種類のパターンと一つの種類の原稿だ。
 つまり、Aが当選して、B、Cの二人が落ちたとする原稿が一つ。
 Bが当選して、A、Cの二人が落ちたとする原稿がもう一つ。
 そしてCが当選して、A、Bの二人が落選したというケースの原稿がもう一つ。
 この三本の原稿のほかに、深夜まで当落が分からないまま、新聞の締め切り時間が過ぎた場合を想定して、「深夜まで開票作業が続く」という趣旨の原稿も必要だ。
 つまり市長選に三人が出ると、四本の予定稿が必要になる。
 四人だったら、もっと複雑で、落選の順を記した予定稿も必要になってくるので、一つの市長選に、何本もの予定稿を準備しなくてはならないのだ。
 そして予定稿は、すべて同じ行数にしなくてはならない。
 開票作業終了直前になって、当選者が逆転することもあり、その場合、急遽、予定稿を差し替えないとならない。同じ行数でないと、入らないためだ。
 統一地方選は、その意味で、調査票の回収作業と、その入力、そして予定稿づくりの膨大さにおいて、くたくたとなる仕事だった。
 しばらくはのんびりしたいと思う。
 しかし今年の夏は、参院選もあるし、しばらくは選挙イヤーの状況が続く。

(続き)



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