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作者紹介
鈴木敏章
1949年生まれ。1971-2年ヨーロッパ、北アフリカアジア放浪、1974-76年ヘルシンキ大学留学。以降、フィンランドと関わって30年、年数回足を運ぶ。現在、設計事務所(株)ビタレスクを主宰すると共にフィンランドから木製窓、ドア、ログハウス、サウナ等を直輸入販売する。
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サウナのお話(1)
フィンランドといえば、誰もが知っているサウナ。
よく質問されるのが、フィンランドでは日常的にサウナが使われているのですかとか、各家庭に必ずあるのですかといったこと。何も難しいことはない。日本の各家庭には、お風呂が有りますかという問いと同じと考えると分かりやすい。
一軒家なら、サウナ室が(バスタブのある浴室を持っている家も有るが、圧倒的にサウナを使う比率が高い)普通。もちろん、体を洗うシャワーが併設されている。アパートメント形式の家なら、地下室か屋上に共同のサウナ室が有って、予約制で各々が時間を決めて使用する。小さいときからしつけられているというか身に付いているから、使用後の清掃等、共同生活のマナーは、とやかく言わなくても問題は起きない。毎日というより週2,3回入る人が多いと思う。普段はもっぱらシャワーで汗を流す。

日本のサウナとの決定的な違いは、サウナストーブに水をかけるか、かけないかである。正しい入り方というよりフィンランドでは、サウナストーブに水をかけない人はまずいない。最近は都会では、電気のサウナストーブが主流なので、これについて説明しよう。
室内温度は70−90度、日本のように100度を越すことはあり得ない。体、髪をシャワーで濡らし、ベンチに腰掛けたならスクープで2、3杯ストーブの上の石に水をかける。蓄熱されていた石は、瞬時に蒸気を上げる。たちまち室内は、湿度がまして熱い空気が体全体に伝わってくる。これをフィンランド語でロユゥリュという。
フィンランド人にとってこれは、ただの蒸気ではない。古いことわざに「ロユゥリュにはサウナの魂がやどる」といわれるように、水をかけれない代物はサウナとは言わない。叉、サウナストーブにのっている石もただ者ではなく、熱せられて水をかけて割れるようでは、使い物にならないし大変危険である。この石もフィンランドでしか採れない特殊な石を使う。今でこそマイナスイオンは有名であるが、昔からこの石はマイナスイオンを発生するので体に良いと言われてきた。日本では、香花石といわれている。
熱いサウナから出た後は、とても気持ちがよい。これが問題である。だから健康に良いはイコールではない。日本の一般のサウナのように乾燥した肌を熱にさらして皮膚に良い訳がない。水をかけて、体感温度をまして肌の表面が水分を保ったまま、暖まる方が言うまでもなく良いに決まっている。サウナから出た後の水風呂も、心臓の負担を増す。なぜ日本のサウナには必ずといっていいほどあるのか、理解に苦しむ。
適度にほてった体を自然に冷やしてからのプールなり、湖への水浴が基本である。サウナ前のアルコールは論外である。
(続)
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