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撮影者紹介

ぱぴるす

1967年生まれ。北海道大学馬術部OB。平成2年福岡国体総合馬術7位入賞。人と馬のコミュニケーションをテーマに乗馬を続け、今日に至る。最近は馬の長距離騎乗競技(エンデュランス)にも出場、全日本大会(鹿追町)で100kmを完走している。
自宅は札幌にあるが、現在仕事の都合で熊本県在住。北海道で自分の牧場を持つという夢に向かって、現在着々と準備中。


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○Seat7

 人と馬のコミュニケーションは、馬に乗らなければ取れないというものではない。人と犬がコミュニケーションを取る時は、犬の名前を呼んだり、犬をなでてやったりする。同様に、スキンシップで馬とコミュニケーションを取る方法もある。馬に騎乗している時間は、特殊な場合を除いてせいぜい1時間程度。むしろ手入れをしたりして付き合っている時間のほうが長い。それゆえスキンシップは非常に重要なコミュニケーションの手段だ。
 スキンシップの手段のひとつに、馬を連れて一緒に散歩するという「曳き馬」というのがある。馬術部は札幌の真ん中にあるため、昼間小さい放牧地に馬を放していても草を食べさせてやることは出来ない。そこで、夕方から1時間ほど、隣のモデルバーンという重要文化財の敷地の中へ馬を連れて行き、草を食べさせていた。馬は必死に草を食べるが、毎日連れて行っているとその仕草が毎日異なることに気づく。元気があってバリバリ草を食べる日もあれば、なにか考えることがあるのか今ひとつ調子に乗らない日もある。そんな馬を見て声をかけてやるのだ。「今日は随分と元気だねー」「なにをそう考え込んでる?」
 馬が何を考えているかは、はじめのうちは人間の勝手な思い込みのところもあるが、慣れてくると馬の表情が変わっていることに気付く。草を一生懸命食んでいたと思ったら、急に顔を上げてじっとしてみたり、一箇所でじっと食べているかと思えば突然あちこち歩き回ったり。そんなときの馬の表情を見ていると、少しずつ馬が何を考えているのかが理解できるようになってくる。
 夕方のほんのわずかな時間ではあるが、馬と1対1で付き合うとても貴重な時間だった。毎日の積み重ねていくことで、馬と付き合う時間が長くなり、人馬一体と言ってもいい、馬と見事なコミュニケーションが取れるようになる。 人との付き合いでは、相手と付き合っている時間が長くなれば長くなっただけ相手のことを知ることができるが、馬も全く同じで付き合った時間の長さに比例して相手を知ることができる。
 人馬一体は馬に乗ることだけで得られるものではない。1対1の長い付き合いで人馬一体を感じることもできるのだ。

(続)

 

 

 



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