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撮影者紹介

ぱぴるす

1967年生まれ。北海道大学馬術部OB。平成2年福岡国体総合馬術7位入賞。人と馬のコミュニケーションをテーマに乗馬を続け、今日に至る。最近は馬の長距離騎乗競技(エンデュランス)にも出場、全日本大会(鹿追町)で100kmを完走している。
自宅は札幌にあるが、現在仕事の都合で熊本県在住。北海道で自分の牧場を持つという夢に向かって、現在着々と準備中。


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○Seat6

 自転車はペダルをこげば前に出て、ブレーキのレバーを握れば止まる。自動車もアクセルを踏めば前に出てブレーキを踏めば止まる。道路交通法では馬に乗れば自転車と同じ軽車両。車両なのだからというわけではないが、同じように馬を動かすのにもアクセルブレーキがある。
 馬を前に出すには、両足のかかとで馬の腹を強く圧迫する。これが人から馬への「進め!」の合図だ。馬は自分の腹を圧迫されることで、その圧迫から逃れようとして前に出る。
 一方、止まれの合図は、馬の上で体を少し後ろに倒せば止まる。よく時代劇なんかで「ドウ、ドウ」と手綱を引っ張って馬を止めるシーンがあるが、あそこまで大げさにやらなくても馬の上で人が体を起こすだけで馬は止まる。つまり、馬は自分の背中の上で騎手が前後左右にバランスが動くのを敏感に感じ取っているのだ。あんな大きな体をしていて、騎手のバランスには敏感に反応するのにはびっくりだ。
 また、馬は騎手が跨っただけで、その人が初心者なのか、上級者なのかが分かるという。跨った瞬間のお尻の位置、バランスで馬は判断しているらしいが、初心者だと分かると馬も手抜きをする。これが一般的にいう馬が人をバカにするという現象だと思うが、これも馬に乗り込んでいけばバランスがよくなって馬もよく動くようになるし動かせるようになる。
 馬に乗り始めて2週間ほど経ったある日の朝、初めて調馬策(Seat5参照)がはずれ、馬を前に出す機会がおとずれた。上級者はかかとでチョンと圧迫するだけできちんと動くが、もちろん自分の場合はそうはいかなかった。結局、蹴っ飛ばしてようやく歩き出す始末。初心者なのだから仕方ないが、それよりも自分の意志で馬を動かすことが出来た瞬間の喜びは大きかった。もちろん、まだ馬の気持ちを汲み取る余裕なんかひとつもなく、一方的に要求するだけだったが。
 私は馬に乗り始めて2000鞍、期間にして18年目になるが、自分ひとりで馬を動かすことが出来たときの感動は今でも忘れることができない。
 

 

(続)



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