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撮影者紹介

ぱぴるす

1967年生まれ。北海道大学馬術部OB。平成2年福岡国体総合馬術7位入賞。人と馬のコミュニケーションをテーマに乗馬を続け、今日に至る。最近は馬の長距離騎乗競技(エンデュランス)にも出場、全日本大会(鹿追町)で100kmを完走している。
自宅は札幌にあるが、現在仕事の都合で熊本県在住。北海道で自分の牧場を持つという夢に向かって、現在着々と準備中。


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○Seat12

北大の構内に外乗に出かけると、馬にとってはいろいろなものに出会うことになる。
同じ一つのものでも、好きな人がいれば嫌いな人もいるように、馬でも馬によって好き嫌いがはっきりしている。

たとえば、水。水に入ることなどまったく苦にしない馬もいれば、馬場にできた雨上がりの水溜り程度ならまだしも、肢が半分くらい浸かってしまう水や流れのある川などには絶対に入らないという馬もいる。
水の好き嫌いは、その馬が育ってきた環境にもよると思う。つまり、生まれた牧場のそばにいつも川があって、仔馬のときから当たり前のように川に入っていた馬は水を苦にしないが、山育ちの馬は苦手とするようだ。

牛を苦手とする馬も結構いる。
北大の農場や、酪農学園大学・帯広畜産大学・東北地方の大学の競技会場のそばには必ずと言っていいほど牛がいた。
馬と牛は同じ家畜同士、お互いそんなに気にするほどのことでもないような気がするが、あの白黒のブチ柄を見たとたん硬直してしまう馬もいる。
だから、競技会の準備運動中に牛を見て興奮したり硬直したりして、まったく成績にならないことだってある。
意地の悪い競技会になると、牛柄のバーなどで障害を作ることもある。主催者の団体の馬は、予めしっかり馴致してあって本番では軽々クリアするが、外からの競技者はことごとく止まってしまい、勝利は主催者の団体の手になんて話もよくある話だ。
一方で、競技会などで数多くの馬がいるのを見た牛が興奮して走り回る姿をみることもある。
同じ家畜同士、どうもお互いを意識しあっているようだ。

今年は酉年だが、酉年と聞いて思い出すのが鶏が嫌いな馬が大学にいたということだ。
その馬は障害飛越能力が高く、数々の競技会で優秀な成績を収めた馬だったが、とにかく鶏の鳴き声が大嫌いだった。
北大の農場のそばに実験用の養鶏場があるのだが、外乗でその養鶏場の方向へ向かった途端に歩幅が小さくなり、入り口まで来ると一歩も動かなくなる。
あのコケコッコーの何が嫌いなのか、こっちにはまったく理解できない。
その馬を競技会で負かせるには障害の下に鶏を置いておけ!なんて話が出るくらいとにかく嫌で(競技会では生き物を障害に使うのは禁止なのでもちろん冗談話だが)、とうとうその馬がクラブから離厩する(クラブを去る)まで慣れなかった。

どうも馬の好き嫌いは、私たちが出会うまでの間に置かれた環境に左右されるものが多いらしい。
馬と出会ったとき、その好き嫌いを早く理解してあげることができれば、より深く馬とコミュニケーションが取れるのだ。

蹄の音seat11イメージ

(続)

 

 

 



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