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「絵手紙ズウさんの痛快・駅前探見」 |
第5話: |
〜霧多布〜
旅に出ると気になるのが天候だ。「夏から秋にかけての道東はよく海霧(ガス)がかかるヨ」と、言われながら、いか〜にも霧が多そうな名前の<霧多布>にやって来た。 JR浜中駅から岬へ向かう。途中の<榊町展望台>に上ってみたら浜中湾や霧多布岬、緑の霧多布湿原が気持ちよく広がる。湿原と湾にはさまれた道を行くと、民家の広場には昆布がバーコードのように干してありプーンと磯の香りがしてくる。 <霧多布岬>に到着。ところが期待を裏切るような晴天なのだ。これはラッキー! 岬は正式には湯沸(とうふつ)岬といい、高さ4、50メートルの台地になった半島で先端まで遊歩道がついている。道の周辺には夏になるとたくさんの花が咲くようだ。 その道を歩いて行くと赤白のストライプの<湯沸岬灯台>が建っている。幸い海霧がないので、耳を裂くような霧笛も聞かずに済んだ。 さらに細い道を下りて行くと最先端、大きな岩に海鳥がにぎやかに飛び交う。珍鳥エトピリカはどこか?と目を凝らすが、カモメ!?がミャーミャーとやたらうるさいので、その岩を名古屋岩と名づけてやった。 |
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岬の売店でTシャツとエトピリカ人形を買った。おまけに<海霧発生日本最多の地到着証明書>をもらうことができた。
岬の西側にある<アゼチの岬>からは琵琶瀬(びわせ)湾や小島、嶮暮帰(けんぼつき)島が見える。 海鳥の観察をしている人がいたので、望遠鏡をのぞかせてもらった。黒くて小さいのが波間にプカプカ浮いているので何という鳥か尋ねてみたら、な、なんとあのエトピリカだという。バンザーイ、あまりの感動に思わず涙!?そのほかウミウやケイマフリというのも教えてもらった。すごく得をした気分だ。 街へ出て、この辺りでしか飲めないという<小松牛乳>を飲んだ。ビンに入っていてなかなかうまい。 <霧多布湿原>が一望できる琵琶瀬展望台にやって来た。反対側は太平洋の大海原だ。日本第3位という広〜い緑の中をクネクネと琵琶瀬川が流れている。思わず「喜多郎」の音楽が体をよぎる。 双眼鏡を取り出して湿原を眺めてみると、タンチョウを発見!またまた感動!やはり自然はいいもの。 一日中ここにいて、朝夕の湿原の変化をゆっくり見ていたいような気持ちになった。 |
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ここから次の目的地厚岸へ向かう。頭の中で“カキをたくさん食べるゾ”と思いながら、太平洋シーサイドラインをひた走る。途中、ちょいと寄り道をして国泰寺と愛冠岬を訪れた。 <国泰寺>は1805年、徳川幕府が東蝦夷を平定するために建てた古い寺だ。山門には葵の御門がついていた。もしかしたら黄門さまが来ていたかも…!? <愛冠岬>はロマンチックな名前だ。岬へ続く遊歩道を行くと展望台に着く。ここもよく霧に覆われるというが、きれいな青空にめぐまれた。 展望台からは静かな厚岸湾と尻羽岬、大黒島が見え、その向こうは果てしなく広がる太平洋だ。 |
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さていよいよ目指すは“カキ”だ。まず厚岸の駅弁<かきめし>を食べた。甘じょうゆで炊いた飯の上にしょうゆで煮たふっくらしたカキがのっかっていて、これが何ともいえないおいしさ。全国でも人気駅弁のひとつというのもよくわかる。
駅裏の丘においしいものが食べられるという<味覚ターミナルコンキリエ>がある。ここにはミニ水族館や展望台があるが、ぼくは新鮮な魚介類を焼きながら食べられるというバーベキューコーナーへ直行した。 |
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炭火の上に殻付きカキをのせる。ワクワクしていると、やがてジューッとカキの汁がふきだす、そこが食べ時だ。あつあつの殻をあけてポックリしたカキにレモン汁をふり、その汁ごとフーフーして食べた。海水の味とカキの甘さがワーッと口に広がる。そのうまさといったら筆舌に尽くしがたい。
また次のがジューッと汁を…これもパクッ。幸せの真ん中、いくらでもいけそうだ。知らず知らずにカキの食べ殻が増えていく。もちろん冷えたビールもたまらない。 欲を言えば少しだけでもいいから、海霧にけむる霧多布岬も見たかった…こりゃ贅沢かナ。 |
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(続) | |
絵と文 「北海道各駅停車 見て歩き食べある記」(北海道新聞社)より |
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