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作者紹介
渡辺 俊博
道中作文画家
デザインスタジオ・ズウ代表

昭和23年北海道夕張市生まれ。
印刷会社、広告代理店勤務のち昭和54年デザインスタジオ・ズウ設立フリーとなる。
「北海道各駅停車見て歩き食べある記」「北海道おいしいもの見つけ旅」(北海道新聞社)、豆本シリーズ「小樽散歩」「函館散歩」「夕張散歩」(自費出版)などの著書があるほか、旅のスケッチ展を数回開催。
現在、JR北海道社内PR誌「ズウさんの俳諧旅日記」コーナーを執筆中。
古い町を旅するのが好き。ほのぼのとした人情を感じさせるイラストが人気で、最近は旅の絵手紙と俳句に凝っている。

「絵手紙ズウさんの痛快・駅前探見」
著者 渡辺俊博
発行 北海道新聞社
定価 1400円(税別)

第1話:
〜札幌駅〜

 北の都・札幌市、その玄関口が「札幌駅」。1日、1,170本近くの列車が発着し、およそ16万人の乗客でにぎわう道内一活気のある駅だ。2003年には、地上169メートルのJRタワーが完成するのだ。駅に直結したショッピング街には、道産みやげはもちろんファッションやグルメなどの店が並び、駅の楽しさがすべて詰まっているようだ。

 
 駅南口から広々とした駅前広場に出た。メインストリートの駅前通りにはオフィスビルやデパートが建ち並び、大通公園、すすきのを抜けて南へ真っすぐ中島公園まで延びている。
 ひそかにぼくはこの通りを”ティッシュ通り”と名付けている。(いつも広告入りのティッシュを配っている)。
 駅から少し行くと観光客にも人気の「雪印パーラー」がある。店に入ってびっくり!すごいパフェがあった。何とその高さは50センチ近く、5,6人前はありそうな超ビックパフェなのだ(いったい誰がたべるんだろう)。
 ぼくは昭和天皇もたべたというバニラアイス「ロイヤルスペシャル」をたべた。とても濃厚なミルクの味で、これが高貴な味!?というものかも。
 

 店を出てイチョウ並木を行くと、どっしりとした赤レンガの〈道庁旧本庁舎〉が見える。この並木通りは札幌で始めての舗装道路だ。それもめずらしい木レンガ製でいまでも道路を掘るとこのレンガが出てくるそうだ。
 道庁を横切り5分くらい歩いた所にある〈札幌メディアパーク・スピカ〉で「幸せを呼ぶ妖精(ニッセ)」という催しをやっていた。おもしろそうなので立ち寄ってみた。
 ”ニッセ”というのは、屋根裏に住むいたずら好きのデンマークの妖精のことで、クリスマスが近くなるとサンタさんのお手伝いをするそうだ。
 一歩会場内に入るとそこはもうメルヘンの世界。300体ものかわいいニッセの動く人形がお城や森、水車小屋などで大活躍。外は寒いがここにいると何となく幸せな気分になってきたのだ。
 スピカから大通公園に出て、西13丁目にある〈札幌市資料館〉に向かった。そこにはぼくの尊敬する漫画家・おおば比呂司さんの展示室があるので、ぜひ作品をみたいのだ。
 資料館は大正16年に札幌控訴院として建てられたもので、レンガと軟石造りでとてもいい感じだ。館内には札幌の歴史を展示したコーナーがあるが、〈おおば比呂司記念室〉は楽しい。どれもほのぼのとした作品で、特に旅先でたべた料理のスケッチがおもしろい。「ぼくももっと描かなくっちゃ」と思いながら、しばらく見入っていた。
〈大通公園〉は札幌の町を南北に分ける東西1.5キロのグリーンベルトだ。冬季間は夜になるとホワイトイルミネーションとして、電飾された樹木や光のオブジェで彩られ変身する。また、雪まつりの会場でもある。
 ぼくはその一番左側にある〈テレビ塔〉に上り、3階のビアレストランでひと休み。地上27メートルから眼下に広がる大通公園を眺めながらビールを飲んでいた。早くイルミネーションに灯りがともるといいなぁと思っていると、ふわふわと雪が降ってきた(今年のサンタさんは、ぼくにどんなプレゼントをくれるのかなぁ・・・)とビールをグイッと飲んだ。


                           (続)


絵と文 「絵手紙ズウさんの痛快・駅前探見」(北海道新聞社)より



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