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作者紹介
SHIMA
1960年、北海道生まれ。スズメの声で目を覚まし、雪上の野ウサギの跡を追いかけていたていた少年が、就職後に町中に住み、動物を見たいと双眼鏡を手にたのがきっかけで、不思議な野鳥にのめり込んでいく。

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 ■第15話

 前回、野鳥の世界も求愛の季節、と言うお話をしましたが、すっかり季節も変わり、きれいなさえずりもあまり聞かれなくなり、木の葉が生い茂って野鳥が見つけづらい「鳥見人」としては、辛い季節になってきました。この季節になると、ヒナたちも育ってきて、子ども達にせっせと餌を運ぶ親鳥の姿が見られるようになります。子育てのこの時期もまた、自然の不思議さを感じますが、この時期にヒナが生まれることにも深い意味があり、子育ての頃は1年で一番多くの餌となる虫などが必要な時期なのですが、昆虫の世界も幼虫等が出始め、一番餌が豊富な時期にぶつかります。
 今朝も巣から出て木の枝の上で親鳥から餌をもらうコゲラのヒナを見かけましたが、もう既に、ハクセキレイやシジュウカラなど、か弱い声で鳴くヒナたちの声が聞こえています。

ヒナのために餌を運ぶノビタキ

 ここで一つお願いなのですが、これからの時期、巣から誤って地面に落ちたり、枝から枝へと飛ぶための練習中に地面に落ちてしまったり、巣から出て親鳥から迷子になったように見えるヒナを見かけることがあります。近くに親もいないようで、心配で助けたくなってしまいますが、ヒナはそのままにしてあげてください。親鳥はしっかりとヒナを見ていて、人間の姿に自分の愛する子どもがどうにかされるのではないかと、不安そうにどこかで見ています。親切心が逆に、人間が触ることで育児を放棄してしまったり、自然界では生きていけなくしてしまうことも考えられます。人間が自分の子どもを愛し、どういう状態でもしっかりとすくすくと育てようと愛情を注ぐように、親鳥もしっかりとヒナを育てようとしますから、野鳥の親の愛もそっと見守ってあげてください。

(続)

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